たまごの不思議

何気なく毎日食べている卵ですが、
不思議がある食材だということをご存知でしょうか?

進化の過程でニワトリが先に生まれたか、
卵が先かという話は置いて、
卵子と精子、
そして育つために必要な栄養(黄身)をセットし、
カルシウムを主成分とする硬い殻で包んで体外にポンと出す、
こんな奇想天外なアイデアによって生命を誕生させることは、
何ヶ月もの間、お腹の中で新しい命を育てる哺乳類にしてみれば、
ある意味うらやましいといえます。

同じ鳥類でありながら、
空を飛ぶ鳥とほとんど飛ばないニワトリでは、
卵の大きさが見た目は同じでも、
白身と黄身の割合が違っています。

鷲などの卵の卵黄の比率が20%であるのに対し、
ニワトリのヒナは、出来るだけ多くの栄養を確保し、
生まれた直後に立ち上がり、
自分で餌を食べ始めるように進化したため、
卵黄の割合が40%もあります。

卵の形が、
いわゆる卵型をしているのにも、
ちゃんと訳があります。

ゴルフボールのように真球だと、
どこかに転がっていく恐れがあります。

そこで上部と下部の直径を変え、
途中でクルリと輪を描くように止まる
デザインになっています。

また、
ゆで卵をコマのように回すと起き上がる現象は、
300年ほど前から世界の物理学者を悩ませてきた難問で、
「ゆで卵の逆説」と呼ばれていました。

しかし、
2002年慶応大学の下村裕教授らの研究グループが、
数式を使って「ゆで卵の逆説」を説明することに成功しています。

さらに2006年、同教授は、
横にしたゆで卵を水平方向に高速で回転させると、
卵が起き上がる過程で、
重力に反してほんの少しジャンプすることも
実験で証明しています。

たかが卵、されど卵というところでしょう。

ゆで卵を回して、ジャンプする瞬間を
観察してみてはいかがですか?


衣替えで気をつけたいこと

10月になって朝晩に肌寒さを感じると、
衣替えを本格的に行う決心がつきます。

タンスや収納ケース、あるいはクローゼットから
秋冬用の衣類を取り出すのは簡単ですが、
夏用の衣類を収納するのは気が重いという方は
少なくないはずです。

面倒臭さが先行して、
どーんと衣装ケースに放り込みたくなりますが、
来年のことを考えれば、
やはりちゃんとした収納を心掛けなければなりません。

収納する時に一番気をつけたいのが、
シミや虫食い対策です。

特に夏の衣類は、
充分に汚れを落として収納しなければ、
来年、フタを開けてみると取り返しの付かない状況が…、
ということにもなりかねません。

対策の第一としては、
汚れを落とした後、
よく乾燥させてから収納するという点でしょう。

虫食い対策としては、
防虫剤と一緒に保管するということになりますが、
気をつけなければならない点があります。

防虫剤の成分は空気より重いので、
上から下に広がります。

したがって、衣類を重ねて収納するのであれば、
衣類の上に置くのがベストです。

防虫効果を最大限にするのであれば、
詰め込み過ぎはよくありません。

ぎゅうぎゅう詰めの状態では、
防虫成分が行き渡りにくく、
効果も半減してしまいます。

タンスや収納ケースの8分目くらいまでを
目安にします。

吊り下げるタイプの防虫剤は、
防虫成分が空気中に蒸散するようになっていますので、
等間隔にかけると満遍なく広がり、効果的です。

長い間かけっぱなしの防虫剤は、
効力が無くなっているものもありますので、
使用し始めた日を防虫剤に記しておくと、
いつ使い始めたかがわかるので、
交換時期の目安になります。

衣類が完全に乾いていない状態で収納すると
カビの原因となってしまうので、
絶対にやめましょう。

クリーニング店から戻った衣類も、
スチームアイロンなどの湿気を含んでいる場合がありますので、
一度クリーング店でかけられたビニール袋をはずして陰干しした後に、
しっかり乾燥してから収納することにも心がけて下さい。


金太郎のようなゆで卵とは

最近では、コンビニで販売されている惣菜やお弁当が充実し、
ますますコンビニエント(convenient:便利)なストアになっています。

フレッシュな製品も充実し、
生野菜を使ったサンドイッチなど、
賞味期限が短い商品も種類が豊富です。

その中でも新鮮な野菜を使ったサラダは、
彩りや食事のバランスを考える人にとっては、
有り難いものです。

サラダに入っている野菜は様々ですが、
脇に添えられているスライスされた卵の正体を
ご存知でしょうか?

ゆで卵をスライスしたような輪切りの卵は、
実はゆで卵ではありません。

その正体は、「ロングエッグ」という商品です。

普通、あの卵のスライスを見る限りは、
球形のゆで卵を切っているように思えますが、
ロングエッグは、魚肉ソーセージのような
ビニールケースに封入された長い黄身と白身の加工食品です。

中心の長い棒状の黄身を取り囲むように、
白身が巻いてあり、
輪切りにすると、
金太郎飴と同じようにどこを切っても、
中心に黄身、それを取り囲むように白身
という構造なのです。

したがって、白身と黄身が同じバランスで、
まるでゆで卵をスライスしたような輪切りになります。

本物のゆで卵を使用すれば、
真ん中は利用できますが、
両端に残る白身だけの部分は、ムダになるので
ロングエッグは経済的ですし、合理的です。

このロングエッグは業務用でのみ販売され、
ピザや卵サラダ、ラーメン等に使用されています。

均一な輪切りのスライス卵として、
料理に使用できるため、
飲食店やスーパー、コンビニ向け商品の工場等で
広く利用されています。

コンビニでサラダを買う時に、
よく観察してみてはいかがでしょうか?


杮落とし柿落とし

秋の美味しい果物として柿は外せませんが、
実は編集者にとって、
柿はチョット厄介なモノなのです。

編集者が柿がキライというわけではなく、
「柿」という漢字がクセモノなのです。

次のような笑い話があります。

「柿落とし」の「杮」は「柿」ではないので、
「杮」に直して下さい。

上の文章にふりがなを付けると次のようになります。

「杮(こけら)おとし」の「杮(こけら)」は、「柿(かき)」ではないので、
「杮(こけら)」に直してください。

文字を書く時代では、
書き順、画数:「柿(かき)9画-(こけら)8画」も違ったため、
このような混乱はなかったのでしょうが、
パソコン全盛の時代では、
モニターに表示される自体によっては、
全く同じものに見えてしまうのです。
柿(かき)9画-(こけら)8画

小塚ゴシックProという書体では、
上の「こけらおとし」も
下の「かきおとし」も全く同じに見えます。

ところが、
筆順を比較的正確に表示するHGS教科書体で比べてみると、
その違いが分かります。

これで「柿(かき)」という漢字が、
チョット厄介な字であることが、
ご理解できたかと思います。

ちなみに「杮(こけら)落とし」の杮とは、
材木を削った時に出る切り屑のことです。

新築や改装の工事の最後に、屋根などの「こけら」を落としたことから、
完成後の初めての興行を「こけら落とし」と言うようになったそうです。

現代の大変便利なパソコンにも、困ったことがあるのです。


新米を味わう前に

「秋は…、」という枕詞で、
まず思い浮かぶのは、
「実りの秋」ではないでしょうか?

特に日本の場合、
米を主食とする歴史が、
数千年の永きにわたって続いています。

そのため、ほとんどの祭事は
お米作りと強く結びついています。

お米作りは、啓蟄(けいちつ)頃、
春まだ浅い頃から始まります。

水温む前からよく耕し、
肥料を入れて、
早苗を育てる準備を整えます。

代掻き(しろかき)が終わった田に、
整然と植えられた苗が並んでいる様子は、
桜の花と同様に、
日本人の春の風景と言えます。

苗の成長には、
水の管理が大切です。

水が少なければ根は枯れ、
水が多過ぎれば根は腐る、
長年の経験が必要な仕事です。

また、根をよく張らせるためには、
過不足なく肥料を施し、
病害虫の駆除から畦の雑草刈りにも
気を配らなければなりません。

収穫の時期が近づけば、
気象図を見ながら稲刈りに適した日を
予想します。

田に引く水路を整備する土木技師であり、
機械の手入れができる整備士であり、
稲を観察する植物学者であると同時に、
先の天気を見極める気象予報士でもあります。

美味しいお米を作るためには、
百の仕事をこなさなければなりません。

農家が百姓と呼ばれる所以です。

新米が出回るこれからの時期、
厳しい自然と向き合い、
よく育ててくれたお百姓さんに
思いを馳せて食すれば、
お米は、「格別の秋のごちそう」
と言えるのではないでしょうか。