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夏の野菜は一番美人

夏は、一年の中で野菜売り場が一番カラフルな季節です。

赤、オレンジ、黄色、緑色のカラーピーマン、トウモロコシ、かぼちゃ、ズッキーニなど
枚挙にいとまがないほど色があふれています。

大きなスーパーマーケットならば、
ほとんどの野菜が一年中並んで入るものの、
栄養価という点では、夏の野菜に勝るものはありません。

たとえば、きゅうりを季節で比較してみると、
夏きゅうりは、冬きゅうりの2倍ものビタミンCを含んでいます。

夏が旬である野菜の代表格は、
トマトでしょう。

トマトの赤い色の成分あるリコピンは、
強い抗酸化力をもつカロテノイドの一種で、
生活習慣病や老化などを予防する働きがあります。

今の時期のトマトは甘味もピカイチです。

冷たくしたトマトを、ガブリと食べる楽しみ方もありますが、
リコピンは、油で加熱するほうが、
生で食べるよりも吸収率が高まります。

夏野菜のゴールデントリオである
トマト、ピーマン、ゴーヤと油で一緒に
炒めてはいかがでしょうか。

これらの野菜には、
油と相性のいいβ‐カロテン(体内でビタミンAに変わります)も
多く含まれています。

薄くスライスしたにんにくをカリッと揚げて、
冷しゃぶの豚肉にトッピングすれば、
減退気味の食欲も増すでしょう。

にんにくに含まれる硫化アリルは、
豚肉に含まれるビタミンB1(疲労回復)の吸収率を高めます。

夏バテ防止のために、
夏の野菜を積極的に食べましょう。

また、夏の食事の際には、
水分の補給も心がけるようにして下さい。

多量の汗をかくことで、体内の水分とともに
ミネラルも失われています。

ミネラルのバランスが偏りがちな夏には、
冷たい水にもサッと溶ける「やまだの青汁30」を
お奨めします。

ビタミンA・C・Kをはじめ、葉酸、カルシウムなど
必要な栄養素を手軽にバランスよく摂ることができる
心強い応援団です。


水を守る大切な植物

気温が高くなるこの時期には、
驚くほどの勢いで植物が成長します。

太陽の強烈な光を利用することで、
植物は、成長に必要な栄養を生産し、
その副産物である酸素を排出します。

動物にとって生命の維持になくてはならない酸素を
創りだしてくれる有り難い植物ですが、
それと同じくらい水の浄化に貢献していることを
ご存じの方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?

たとえば森の木々たちは、
動物にとっては汚染された物質である
栄養塩類を分解吸収し、
多量の水とともに貯蔵します。

また落ち葉などの腐敗物を栄養とする
細菌やキノコもまた水の浄化に寄与しています。

川沿いに繁るヨシが持つ水の浄化能力については、
ご存知の方も多いはずです。

生活排水による汚染が深刻な千葉県の手賀沼の水を使って、
東京のテレビ局がヨシの浄化能力の調査をした結果、
ヨシが生えている場所の土と何も生えていない場所の土では、
ヨシが生えている土の方が水の透明度を高め、
濾過した水に含まれている窒素、リンの含有量を
低くすることが明らかになりました。

ヨシは成長が早いため、
水の中の土や水から窒素とリンをより多く吸収するためです。

またヨシは塩分に強い植物です。

潮の満ち引きによって海水が入っている場所でも、
地下茎に塩分を溜めて生育できます。

私たちが植物を守ることは、
私たちの生きる環境を守ることと直結しているといえます。

庭や畑に活きよいよく繁る雑草には手を焼きますが、
地球全体で考えると、
かけがえのない命の連鎖を支える
大切な資源ともいえそうです。


ナスで夏バテなし?

スーパーマーケットで夏野菜の主役として
顔を利かせているのがナスです。

長なす、丸なす、中なす、米なすなど
種類も豊富です。

東大寺の正倉院宝庫に保管されてきた
文書にも出てくる由緒ある野菜ですが、
他の野菜と比べると、低たんぱく、低カロリーで、
栄養価が特に多いほうではありません。

しかしブルーベリーなどに多く含まれる
ポリフェノールの一種であるアントシアニンには、
目の疲労を改善したり、
ガンや生活習慣病のもとになる
活性酸素を抑える作用があります。

またナスに含まれるコリンという
強アルカリ性の機能性成分には、
血圧を下げる、あるいは胃液の分泌を促す、
動脈硬化を防ぐなどの作用も認められています。

夏野菜に多く見られる体を冷やす効果もあり、
ナスにはとくにその作用が強く認められます。

新鮮なナスにはあくがあるので、
真水、あるいは塩水に浸けて
あく抜きをしたほうが良いですが、

炒めて良し、焼いて良し、煮て良し、
さらに漬物良しと、
ナス料理はレパートリーの幅が広いので、

夏バテ防止の野菜として上手に調理して、
旬をおいしくいただきましょう。


夏カレーで夏バテに対抗

ウコンや丁字(ちょうじ)は、
漢方で使われる生薬(しょうやく)としてよく知られていますが、
ウコンは別名ターメリック、
丁字は別名クローブ、
と呼ばれるスパイスであることをご存知でしょうか?

この二つの漢方が材料として使われている料理があります。

それはカレーです。

漢方薬で調合されているいくつかの生薬は、
カレー用のスパイスとしても共通しています。

日本の市販カレーのルーには、
本場のインドカレーと同等、
あるいはそれ以上の15~30種類のスパイスが、
含まれています。

日本薬科大学の丁教授は、
この点に着目し、
東洋医学の観点から
カレーが脳や体に及ぼす影響を研究しています。

研究の結果、
カレーを食べることで、
脳内の血流が2~4%増え、
情報処理能力が活性化される、
と言う結論を得ています。

また、カレーに使われる香辛料には、
食欲を増進させる働きや
新陳代謝を活発にして脂肪を燃焼させる作用もあります。

メジャーリーグのニューヨーク・ヤンキースで活躍する
イチロー選手も、
昼ごはんにはカレーを食べていたという話は有名です。

カレーは、
炭水化物、タンパク質、ビタミンなど
栄養学的側面から見ても、
バランスがよくとれている料理です。

夏バテ解消に、
ビタミンB1が豊富に含まれている豚肉や
加熱しても壊れにくいビタミンCを含むゴーヤなど
夏野菜をたっぷりと入れた、
暑さに負けない夏カレーはいかがでしょうか?


おかゆと梅干し

夏場は食欲がなくなったり、
冷たいものを摂り過ぎることよって、
体調不良や消化不良を起こしてしまいます。

また冷房の設定温度が低すぎるために、
夏風邪をひいてしまう場合もあります。

胃腸の調子が悪い場合には、
とりあえず「おかゆ」
というご家庭もあるかと思いますが、
気をつけなければならない点があります。

おかゆは、
炊きあがったお米を、
柔らかく煮て作るため、
消化吸収が良いと考えられています。

柔らかいおかゆは、
すするように食べることができるので、
大変有り難いものです。

しかし、
「柔らかく煮てある=消化吸収が良い」
と考えられているところに、
落とし穴があります。

普通の食事の場合、
噛むことによって、
米のデンプンを麦芽糖へと分解するβ-アミラーゼが、
唾液腺から大量に分泌されるため、
食物は、これらの消化酵素とともに
胃へと運ばれます。

しかし、おかゆの場合、
噛まずに食べてしまうことで、
唾液が充分に分泌されない状態で、
胃にたどり着くため、
唾液に含まれる消化酵素が
不足した状態に陥っています。

その結果、
消化吸収が悪くなってしまいます。

つまり、
おかゆは食べやすいけれど、
消化されにくい食事ということになります。

体調がすぐれない時は、
胃腸の調子も悪くなっている場合が多いため、
消化を助ける食べ方に注意を払わなければなりません。

消化酵素の分泌を促すという方法として
梅干しを一緒に食べることで、
この問題点を解決できます。

梅干しを食べることで、
唾液の分泌が促されることは、
みなさんご存知のはずです。

今、このコラムを読まれている方でも、
梅干しという言葉を見た瞬間に、
口の中に唾液が溢れてきたという方も
いらっしゃるのではないでしょうか?

梅干に含まれるクエン酸は、
唾液の分泌を促し、
唾液とともに分泌されるβ-アミラーゼが、
消化吸収を助けます。

唾液の分泌を促す梅干しと
食べやすいおかゆの組み合わせは、
理にかなったゴールデンペアと言えます。


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