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ジャガイモのCはウルトラC

それぞれの食材が最も美味しい時期を「旬」と呼びますが、
初冬の旬のひとつが、ジャガイモです。

ジャガイモは産地の気候や品種によって異なります。

全国の生産量のおよそ7割を占める北海道は、
春に種芋を植え、9~11月の秋に収穫します。

生産量2位の長崎県は冬植えと夏植えの二期作です。

収穫は、冬植えが5~6月、夏植えが9~11月ごろです。

ジャガイモの初物は、値段も高めで、
気軽に買い物かごへは入れづらいですが、
安定的な出荷となる12月になると、
スーパーマーケットの入り口に特売品として
山積みになっていることも少なくありません。

収穫したての新ジャガイモの特徴は、水分が多いため、
みずみずしく皮ごと食べれるので、
素材をそのまま生かした料理がオススメです。

ジャガイモは、主食されている国もあるほど栄養豊富で、
主成分のでんぷんだけでなく、ビタミンCやカリウム、鉄分など、
野菜が育たない地方の冬越しにはなくてはならない野菜です。

特にジャガイモのビタミンCは、特徴的なものがあります。

というのも、
ビタミンCの弱点は、火と水に弱いという点ですが、
ジャガイモの場合は、
その表面がでんぷんに守られているために、
ほとんどビタミンCが失われません。

また、美肌成分の代表であるビタミンCは、
コラーゲンの生成を助け、
加齢による血管の衰え防止にも有効です。

旬のジャガイモは水分が多いため、日持ちはあまり良くありません。

また、日光が当たる場所では発芽してしまうので、
常温の冷暗所での保存が大切です。

リンゴの発するエチレンガスに発芽を抑える作用があるため、
ジャガイモとリンゴを一緒に保存すると日持ちがよくなります。

です。


レンコンのお宝度

熊本県の特産品として有名な辛子レンコンは、
熊本のゆるキャラである「くまモン」に負けず劣らずの
全国区の人気おみやげです。

この辛子レンコンのレシピ誕生は、
歴史が古く、数百年前まで遡ります。

細川藩の初代藩主であった細川忠利が病弱のため食が細く、
それを見かねた耶馬溪羅漢寺の和尚が、
漢方の食材として増血効能があるレンコンを食べさせようと、
和辛子味噌を穴に詰め、油できつね色に揚げたレンコンを
藩主の食膳に出したところ、好んで食べたと伝えられています。

レンコンの切り口が細川家の家紋である九曜(くよう)紋にも似ていたため、
忠利公は辛子レンコンを門外不出の料理とし、
調理法を秘伝としました。

明治維新後にその製法が解禁になると、
レンコンがこの地方でよく穫れるということも相まって、
辛子レンコンは、熊本の名産品となりました。

レンコンとは、蓮(はす)の根=蓮根と書きますが、
実際は、蓮の地下茎が肥大したものです。

輪切りにした時に丸い空洞が並んで、向こうが良く見えるため、
「先の見通しが良い」という縁起を担ぐ
おせち料理に欠かせない食材です。

今では一年中流通しているレンコンですが、
秋口に収穫される新レンコンは、
繊維が柔らかく、あっさりとしてサラダなどの生食に合います。

また、晩秋から冬に穫れるものは粘りが出て、甘味も増すため、
煮物料理や揚げ物などの加熱調理で美味しく食べられます。

レンコンの魅力は、同じ食材であっても調理法によって
歯ざわりの良さと、ネットリした粘りという違った食感を
楽しめるところです。

シャキシャキとした歯ざわりを楽しむには、
冷水につけてアクを抜き、酢水に浸します。

これでレンコンが持っている粘り成分のムチンを抑えることができます。

断面の穴の色が黒ずんでいる場合は、
酢を少し多めに入れた水の中に30分くらい浸しておくと
真っ白になります。

冷水だけの場合でも、概ね黒色止めは出来ます。

お酢が入っていない分、もちもちした食感が残るので、
煮物料理などの場合に向いています。

レンコンの粘り成分であるムチンは、粘膜を潤し、胃壁を保護します。

たんぱく質分解酵素も含むので、たんぱく質を無駄なく吸収できます。

また、ビタミンCも豊富ですから、疲労回復、かぜの予防に効果があります。

黒くなる原因であるレンコンのアクには、ポリフェノール類が含まれています。

ポリフェノールには、消炎止血作用があるので、
胃潰瘍や十二指腸潰の下血や喀血を止める効果があります。


生姜の旬を食する

中国から日本に伝わったといわれる生姜は、
奈良時代には薬用の目的で栽培されていました。

江戸時代になると、一般的な食材として食べられるようになります。

食べる部分は根茎の部分で、
仲間であるウコンやみょうがのように
独特の香りが特徴です。

香りを楽しむための香味として使われますが、
生姜の香り成分には、
殺菌の効果も期待できます。

刺し身の調味料として、すりおろし生姜を使うのは、
臭いを消すばかりでなく、殺菌の効果も兼ねています。

薬味としての香り食材という使用法ばかりでなく、
生姜の切り方を変えると、主食材として楽しむこともできます。

下ごしらえの時に、包丁のはらで押さえつけてつぶしておけば、
繊維質が多い生姜も柔らかく仕上がります。

生姜は、皮付きのほうが香りが強いですから、
表面の泥などを綺麗に落とした後に、
皮付きのまま細かく刻んで、炒め料理に使えば、
生姜の濃厚な風味を味わうことができます。

生姜の香りは熱を加える事で和らぎますので、
千切りにした生姜をてんぷらにすると
さわやかな香りだけでなく、香ばしさも楽しめます。

大阪で多くの人に愛されている紅しょうがの天ぷらは、
生姜をメインの食材として調理する一番のレシピかもしれません。

生姜の千切りを20gほど煮立たせた中に、
斜め輪切りにしたオクラを入れ、白だしで味を整えたあとに、
溶き卵を少しずつ入れて静かにかき回せば、
オクラの粘りで葛湯のようなトロミがついた
溶き卵がふんわりと踊る濃厚なスープになります。

もちろん、今が旬の新生姜を、薄くスライスし、
一晩甘酢に漬け込んでおけば、
ピンク色に染まった自然の紅しょうがとして美味しく食べられます。


生姜の効き目とは?

今が旬の新生姜。

福岡の方丈会では、メインの食材として有名です。

色白の新生姜は、辛味も穏やかで、
みずみずしく、いかにも美味しそうです。

新生姜を甘酢漬けにしたという方も
いらっしゃるのではないでしょうか。

生姜が、体に良い効果をもたらしてくれるということは、
広く知られています。

まずは、香り。

生姜の香りに含まれるシネオールという成分は、
食欲増進、疲労回復、夏バテ解消に役立ちます。

健胃・解毒・消炎作用もあります。

次は、辛味。

生姜の辛味成分である、ジンゲロール・ショウガオールは、
強い殺菌作用があります。

ガン細胞の増殖を抑制する作用や
発ガン物質が引き起こす遺伝子の突然変異を抑制する作用など
多くの研究者が注目している成分です。

また、血行を促進する作用や、
体を温める働きがあるほか、新陳代謝を活発にし、
発汗作用を高める働きもあります。

ナトリウムの排出を促して血圧の上昇を抑える働きや、
筋肉の収縮をスムーズにする働き、
腎臓に溜まりやすい老廃物の排泄を促す働きもあるといわれている
カリウムも多く含まれています。

加熱調理することで、身体を温める効果が大きくなります。

臭みを消したり、脂の酸化を防止する効果などもあり、
薬膳に最適の食材といえます。


パプリカは健康野菜

長雨による日照不足で、
店頭に並ぶ野菜の価格は例年よりも高めでしたが、
梅雨明け後になると、晴天が続きで、
野菜の値段も徐々に落ち着いてきたようです。

緑色や黄色のズッキーニ、紫のナス、真っ赤なトマトなど
鮮やかな色の夏野菜は、目も楽しませてくれますが、
カラフルといえばパプリカもそうです。

赤、黄、緑、オレンジ色のパプリカは、
夏サラダを彩る定番ですが、
その姿は、ピーマンとそっくりです。

しかしパプリカとピーマンは生物学的には違います。

いずれもナス科トウガラシ属の野菜ですが、
パプリカが、複数年に渡って生存する多年草なのに対し、
ピーマンは、1年以内に成長、開花し、種子を残して枯れる1年草です。

また出荷するタイミングも違います。

パプリカは、成熟してから収穫されますが、
ピーマンは成熟する前に収穫されます。

その違いが、一個あたりの価格の差にも出ます。

また完熟のパプリカは、
ピーマンよりも栄養価が高い野菜です。

赤パプリカは、
動脈硬化や心筋梗塞を防ぎ、
老化防止にも良いと言われる
抗酸化物質のカプサイシンを多く含んでいます。

黄パプリカは、
視力低下や眼精疲労の予防に欠かせないルテインを多く含み、
シミ、ソバカスを防ぐビタミンCも多く含んでいます。

オレンジパプリカは、
赤と黄色パプリカのいずれの成分も含む
オールマイティなパプリカです。

またパプリカは、抗酸化作用によって老化を防ぐβ-カロテン、
エイジングケア効果があるビタミンEも含んでいます。

パプリカは、夏を乗り切るための野菜と言えるでしょう。


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