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二日酔いとL-システイン

年末から年始にかけては、
一年の中で一番お酒を呑む機会が増えます。

連日の忘年会で、前の晩のお酒が抜けないうちに
今夜の宴会が始まるという宴会多忙症候群の方は、
二日酔いのハシゴということにならざるをえません。

二日酔いの主な原因は、
アルコールが分解される途中の化学物質である
アセトアルデヒドが体内にあるためです。

アセトアルデヒドは、毒性の高い物質で、
体内でこの量が増加すると、吐き気や頭痛などの症状があらわれます。

二日酔いの解消のための方法は人様々です。

アルコールで欠乏するビタミンCを大量に飲んだり、
肝臓に効果のあるサプリメント、アルコールの分解を早めるサプリメント、
最終手段として迎い酒をするというつわ者もいらっしゃいます。

二日酔いの解消に有効な物質としてL-システインがあります。

L-システインには、
アルコール分解酵素であるアルコール脱水素酵素(ADH)と
アセトアルデヒドを分解するアセトアルデヒド脱水素酵素(ALDH)を
活性化する働きがあります。

急性アルコール中毒状態の実験用のラットに
Lシステインを投与したところ、
血中エタノール濃度やアセトアルデヒドの減少が認められた
という研究報告もあります。

食品にはほとんど含まれていないてL-システインですが、
必須アミノ酸であるメチオニンを摂取することで、
体内で分解再構成されてL-システインが作られます。

メチオニンは様々な食品から取得できますが、
豚肉のタンパク質に多く含まれます。

野菜では、玉ねぎ、にんにく、赤ピーマン、ブロッコリー、
芽キャベツなどに多く含まれています。

スプラウト(新芽)食材である芽キャベツは、
二日酔い予防の食べ物として優れています。

また、L-システインは、疲れ・だるさを改善する効果がある他、
メラニンの発生を抑制する、肌のハリを維持する働きや
ニキビができにくくなるなど、肌トラブルを改善する働きもあります。

ただし、年齢とともにメチオニンから合成される
Lシステインの量は減少するため、
より効率的にメチオニンを含む食品を取ることやサプリメントを
摂るように心がける必要があります。


紅葉の血液型

人の血液型は、大きくA型、B型、AB型、O型の4つに分類されます。

血液型占いや血液型による性格など、
真偽は別としても、
多くの人が血液型を気にしているのは事実です。

4つの血液型の特徴とは何なのでしょうか?

血液型は、血液に含まれる成分の違いによります。

赤血球の表面から出ている糖鎖構造に
ガラクト糖酸があればA型、
ガラクトースという糖があればB型、
両方の糖があればAB型、
どちらもなければO型になります。

日本人の場合、全体の40%がA型で一番多いのですが、
白色人種の場合は、A型、O型で80%、
黒色人種の場合は、O型の人が、50%を占めています。

血液型は、人間ばかりでなく
他の哺乳類にも存在します。

ヒトの血液型を調べるときと同様に、
血液の成分である赤血球と抗A抗体、抗B抗体を混ぜ、
その反応から血液型を特定する方法を用いて検査すると、
テナガザルの血液型は、A型、B型、AB型の3種類だということがわかっています。

チンパンジーには、A型、O型の2種類が存在します。

また動物ばかりでなく、植物にも血液型が存在します。

血液がない植物にも血液型が存在するということは不思議ですが、
前にも述べたように、
ガラクト糖酸とガラクトースのあるなしで血液型が違いますから、
植物においてもこれらの糖の存在次第で
血液型の分類は可能となります。

このルールに則って、分類すると
A型の植物:ヒサカキ、アオキ
B型の植物:セロリ、ツルマサキ
AB型の植物:ソバ、スモモ、バラ
O型の植物:ダイコン、ゴボウ、サザンカ、ツバキ
ということになります。

大変面白いのは、秋に紅葉するカエデには、
2種類の血液型があります。

しかも血液型の違いで紅葉の色も違っています。

赤く紅葉するカエデはO型で、
黄色く色づく紅葉はAB型です。

既に北海道では初雪が降ったというニュースも流れていますが、
南の方では、まだ冷え込む日があまりないため、
これからが本格的な紅葉でしょう。

カエデの血液型の違いを知りながらのモミジ狩りはいかがでしょうか?


今のうちから冷え対策

夏の暑さも峠を超え、過ごしやすい気候になりました。

秋は、行楽に良い季節ですから、美しい風景を思い切り満喫したいものです。
しかし、秋は、ご存知のように、夏以上に紫外線防止対策が必要です。
日傘や帽子などの携帯はお忘れの無いように…。

さて、秋に気をつけることは、紫外線だけではありません。

夏に溜まった疲れやエアコンによる肌の乾燥へのケアも必要ですし、
気温が下がってくるこの時期は、冷えへの対策も大切です。

冷えは、実は人の体に様々な悪影響を及ぼすことがあり、
寒くないから…と考えず、今のうちから冷え対策を心がけましょう。

ここで、冷えについて、改めて考えてみましょう。

季節を問わず冷えに悩む人は少なくありませんが、
気温が低い冬場は、特に手足の先など体の末端の冷えが辛い時期です。

冷えは、肌荒れ、生理痛、生理不順、頭痛、めまい、腹痛、体のだるさ、
不眠などを引き起こすことや免疫力を低下させるため、
心当たりの原因を考え、改善することが大切です。

冷えの原因は、食生活の乱れなどの生活習慣に原因があると考えられています。

例えば、ミネラル・ビタミンが不足してしまうと、
食べ物からエネルギーや熱を作ることができず、
体温が上がらなくなり、冷え性になってしいます。

生活習慣を見直して、冷えを改善しましょう。


秋の空が透明な青になる理由とは?

「天高く馬肥ゆる秋」

天高くとは、
秋の空の透明度があがるという表現のひとつでしょう。

空の透明度が、夏から秋にかけて増すのは、
空気中に含まれる水蒸気の量が関係しています。

夏の青空は、太平洋に中心を持つ
南からやって来る高気圧です。

海の上で生まれた高気圧ですから、
たっぷりと水分を含んだ状態で日本にやってくるため、
太陽光線が、水蒸気で乱反射し、
日本特有の蒸し暑い夏の晴れということになります。

一方、秋の高気圧は、
大陸から移動してくるため、
空気中に含まれる水蒸気の量は少なくなります。

秋の空が夏の空よりも青く、高く見えるのは、
このような高気圧の出身地に違いがあるためです。

ところで、春の青空も
同じく大陸生まれの高気圧によるものですが、
少し事情が違います。

春の空の表現といえば、春霞(はるがすみ)です。

これは、高気圧が生まれる場所の環境が違うためです。

春先は、雪や氷が溶けたばかりで、その中に含まれる土や砂が
舞い上がりやすくなっています。

それに対して秋は、夏に育った草がホコリの舞い上がりを抑制するため、
秋に発生する高気圧には、
透明度を下げる邪魔者が少なくなります。

また、上昇気流の強さが変化することも秋の空を青くする理由の一つです。

秋になると、太陽の南中高度(※1)が低くなるため、
日中の最高気温が下がります。

太陽で暖められた空気の対流が弱まり、
地表からホコリが舞い上がる空気の層が、
空の低いところに留まる傾向にあります。

雲の様子も変わります。

上昇気流が弱くなるため、
入道雲(積乱雲)のような水分を多量に含む夏らしい雲の出番が少なくなります。

空の天井付近である上空5~13キロ付近に現れる
鳥の羽根のような「巻雲(けんうん)」や、
細かい雲片が空一面に広がる「うろこ雲」などが、フワリフワリと浮かびます。

※1 南中高度
一日の中で、太陽がいちばん高く上がったときの
地平線との間の角度です。
夏至のときの南中高度がいちばん高く、
冬至の南中高度がいちばん低くなります。


人が決める発酵と腐敗

夏の高温多湿は、食材の傷みを早くするため、
保存や料理法に気をつけなければなりません。

「食材が腐る」という意味は、
タンパク質やアミノ酸などが
微生物に分解され、硫化水素やアンモニアが
生成されることです。

食材からは徐々に腐敗臭が発生し、
最後には食べられなくなってしまいます。

同じように微生物が食材を分解する現象を
「発酵する」と表現する場合もあります。

発酵も微生物の働きによる食材の変化です。

発酵によって食材に含まれる糖類などが
乳酸やアルコールなどに分解されます。

また蒸した大豆に加えた納豆菌によって
大豆のタンパク質がアミノ酸に分解される発酵もあります。

いずれも微生物が関わっている発酵と腐敗ですが、
人間にとってメリットがあれば発酵と呼び、
デメリットであれば腐敗という表現をします。

とは言え、発酵と腐敗の境目は微妙で、
牛乳が微生物によって分解されて凝固したものを、
ある時は腐った牛乳と呼び、ある時は乳酸菌発酵食品と呼びます。

腐敗した食材とは言っても、
食べたから必ず食中毒になるということはありません。

食べられないわけではありませんが、
特定の病原微生物が、食品の中で増殖する、
あるいは毒素を作ってしまうと食中毒が起こります。

したがって腐敗した食品を食べてはいけなということになります。

実験的に微生物が腐敗や発酵に関わっていることを
18060年代に証明したルイ・パスツール(Louis Pasteur)から
まだ150年ほどしか経過していません。

正体が解明されていない微生物の活動が、
まだまだ地球には潜んでいるのでしょう。


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