杮落とし柿落とし

秋の美味しい果物として柿は外せませんが、
実は編集者にとって、
柿はチョット厄介なモノなのです。

編集者が柿がキライというわけではなく、
「柿」という漢字がクセモノなのです。

次のような笑い話があります。

「柿落とし」の「杮」は「柿」ではないので、
「杮」に直して下さい。

上の文章にふりがなを付けると次のようになります。

「杮(こけら)おとし」の「杮(こけら)」は、「柿(かき)」ではないので、
「杮(こけら)」に直してください。

文字を書く時代では、
書き順、画数:「柿(かき)9画-(こけら)8画」も違ったため、
このような混乱はなかったのでしょうが、
パソコン全盛の時代では、
モニターに表示される自体によっては、
全く同じものに見えてしまうのです。
柿(かき)9画-(こけら)8画

小塚ゴシックProという書体では、
上の「こけらおとし」も
下の「かきおとし」も全く同じに見えます。

ところが、
筆順を比較的正確に表示するHGS教科書体で比べてみると、
その違いが分かります。

これで「柿(かき)」という漢字が、
チョット厄介な字であることが、
ご理解できたかと思います。

ちなみに「杮(こけら)落とし」の杮とは、
材木を削った時に出る切り屑のことです。

新築や改装の工事の最後に、屋根などの「こけら」を落としたことから、
完成後の初めての興行を「こけら落とし」と言うようになったそうです。

現代の大変便利なパソコンにも、困ったことがあるのです。


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