肝心な腎臓

肝心という漢字があります。

用例としては、
「慎重に対処することが肝心だ」
というような使いかたです。

「肝心」の「心」という漢字は、
心臓の「心」から使われていることは、
容易に想像できます。

人体にとって欠くことのできない臓器ですから、
最も重要な臓器であることは、
疑いありません。

ところがこの「肝心」という漢字は、
「肝腎」とも書かれることをご存知でしょうか。

腎臓は、
血液に含まれる老廃物(尿素窒素、クレアチニン、尿酸など)をろ過し、
体内の余分な水分と共に体外に排出役割を担っていますが、
腎臓には、それ以外にも重要な役割があります。

体内の電解質(ナトリウム・リン・カリウム・カルシウム・塩化物イオン)のバランスを保ち、
濃度を一定に保っています。

筋肉をスムーズに動かすことや、
血液や体液の中に存在する細胞内の水分を一定に保てるのは
腎臓が正常に働いているからです。

腎臓は、血圧を上げたり、
血液の循環を正常に保つレニンという酵素を作り、
骨髄に赤血球を作るよう働きかける
エリスロポエチンという造血ホルモンを分泌しています。

魚介類や卵、きのこ類などに多く含まれるビタミンDを、
骨の生成に必要な活性型ビタミンD3に変える働きをしています。

活性型ビタミンD3は、腸管において
カルシウムの吸収を促進したり、
腎臓においてカルシウムの再吸収を促進することで、
体内のカルシウムを効率よく活用します。

また、骨に対しては、
骨代謝回転を改善する作用があります。

漢方では、
五臓と呼ばれる(肺、心、脾(ひ)、肝、腎)臓器の一つである腎臓は、
尿の排泄(はいせつ)をつかさどるだけではなく、
まさしく肝腎な臓器であることを、よく認識しておかなければなりません。


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