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一汁三菜が和の基本

和食の基本形である、
ご飯と汁物、おかず、漬物の組み合わせを
一汁三菜といいます。

平安時代の絵巻物にも、
武家や平民が1人ずつのお膳を前に
食事をしている風景が描かれています。

汁もので水分を補い、
エネルギー源となる炭水化物をお米で摂ります。

おかずでバランスよく様々な栄養素を摂ることができます。

肉や魚、卵などのタンパク質を補う主菜が一品、
海苔やワカメなどでミネラルやビタミン、
豆や野菜など食物せんいを補うおかず2品を組合わせた
日本食の伝統的なスタイルは、
健康になるための食ともいえます。

しかも日本列島は南北に長く、
春夏秋冬が恵む海や山の幸に囲まれた
幸せな食の国なのです。

しかし家庭内において、「和食」は苦戦しています。

ある調査で、「和風の料理が好きな方だ」と答える人は、
平成12年の65,8%から平成24年は55,5%に減少し、
特に子育て世代でもある40代女性の落ち込みは、
73,6%から50,9%と大幅に減っているという結果が出ています。
※1

ユネスコの世界文化遺産審議会に出された
「和食」についての提案書には、
和食の特徴として正月などの年中行事に
食の時間を共有することで絆を深めている、
と書かれています。

ライフスタイルの多様化で
食卓を囲む家族団欒(だんらん)の風景は、
徐々に減っているようにも思えますが、
心身ともに健康であるための「和食」と「絆」のいずれも
次世代に引き継ぎたい伝統の一つです。

※1:博報堂生活総合研究所「生活定点」調査


大地のりんご「ジャガイモ」

カレー、肉じゃが、コロッケ、ポテトチップスなど、
ジャガイモは、私達にとって大変馴染み深い食材です。

世界の五大食用作物の一つであるジャガイモは、
南米大陸のアンデス山脈の高地が原産といわれ、
16世紀にスペイン人がヨーロッパへと広めます。

日本には、戦国時代の終わりである1600年頃に
観賞用の花として、
ジャカルタ港からオランダ船で運ばれてきました。

日本名のジャガイモという名前の由来は、
ジャカルタから持ち込まれたイモという説が有力です。

世界には約2000種類以上の品種があると言われ、
日本ではその内のおよそ20種類が栽培されています。

中でも男爵いもとメークインは、2大品種です。

でんぷんが多く含まれる色白の男爵いもは、
ホクホクした食感が特徴で、コロッケや粉ふきいも、
マッシュポテトにむいています。

イギリス生まれで、やや黄色みがかったメークインは、
煮くずれしにくいため、
肉ジャガやカレーライスなどの煮こみ料理に向いています。

日本人に大人気のジャガイモは、
実は栄養面でも大変優れた食材です。

ビタミンCに関しては、含有量がりんごよりも多く、
ジャガイモに含まれるビタミンCは、
デンプンに保護されるため、加熱による損失が少なく、
煮ても焼いても壊れにくい特性を持っています。

ビタミンCばかりでなくカリウムも多く含むジャガイモを、
フランスでは、大地のリンゴ(pomme de terre:ポム・ド・テール)と
呼んでいます。

今晩のお食事に、
新ジャガを使ったひと品をいかがでしょうか?


アミノ酸スコアとは?

たんぱく質は、体の中で合成と分解を繰り返しています。

代謝される速度は、種類によって異なりますが、
分解されてアミノ酸となり、
その一部は尿素などに合成されて体外に失われます。

成長期には、新生組織の蓄積に必要なたんぱく質を
摂らなければなりません。

日々の摂取量に違いはあるものの、
成人であってもたんぱく質を食事から補給する必要があります。

たとえダイエット中であっても、
三大栄養素の一つであるたんぱく質が、
不足してはいけません。

カロリーを消費するのは、体を構成する筋肉であり、
その筋肉の主な組成は、たんぱく質だからです。

筋肉ばかりでなく内臓、髪の毛などを作る栄養素でもあるたんぱく質は、
大きく分けると肉や魚などの動物から得られる動物性たんぱく質と
大豆などの植物から得られる植物性たんぱく質に分かれます。

動物性タンパク質は、
人間のたんぱく質の組成と近いアミノ酸組成であるため、
アミノ酸スコアが高いです。

アミノ酸スコアとは、健康な体を維持するための
理想的な必須アミノ酸の量と組み合わせのバランスを点数化したものです。

必須アミノ酸(9種類)は、体内で組成することができません。※1

そこで日々の食事から摂取する必要がありますが、
骨や血液、筋肉を作るのに必要なタンパク質を合成するためには、
ひとつでも必須アミノ酸が不足するとできません。

たとえば8種類の必須アミノ酸が100%あっても、
ロイシンが40%しかない場合、
その食品のアミノ酸スコアは40クラスということになります。

【アミノ酸スコアの高い食材】
アミノ酸スコア100:豚肉、卵、牛肉、かつおなど
アミノ酸スコア90:ベーコン、チーズ、しじみ、そばなど
アミノ酸スコア80:さつまいも、豆腐、昆布、キウイなど

※1:必須アミノ酸:リジン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、
メチオニン、バリン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン


歩くことを健康につなげるにために

高齢者の歩行中の転倒は、
大きな怪我につながることも少なくありません。

歩行中に足の上げ方に注意を払っていても、
わずか数センチの段差が転倒につながるのは、
当人がその段差を過小認識していることが原因です。

下肢の筋肉の衰えによって、
視覚から入ってくる情報を筋肉に伝える際の高さと実際の高さに
ズレが生じ、歩くことが大きな危険となります。

一歩一歩を確認しながら歩くという作業は、
現実的には難しいと思いますが、
歩くという動作の物差しを定期的に確認しておけば、
段差に対する対応も違ってきます。

わずかの数センチの高さの違いほど、誤認識の可能性が高いと言えます。

建築基準法においては、
階段の踏上寸法(階段一段の高さ)は230mm以下、
踏みづら(階段の踏み板の奥行き)寸法は150mm以上、
内法(階段の有効幅)750mm以上と決まっています。

視覚的にも明らかな段差として認識できますが、
和室と洋室の段差わずか数センチメートルが、
転倒の原因になります。

その高さの差によるつまづきを予防するためには、
バリアフリーが最も効果的ですが、
すべてをバリアフリーにすることは不可能です。

数センチメートルの高さをクリアするための備えを
日頃からしておく必要があります。

自らの身は自ら守る、言うのは容易いですが、
転倒につながるつま先の上げ方の衰えを、
どのように察知すればよいのでしょうか?

一番解りやすい兆候は、靴底の擦れる音です。

自分では普段と同じように歩いているのに、
靴の底と地面が擦れる音がするのは、
足の上げ方が十分ではないという証です。

その音が頻繁に聞こえるようになるならば、
数センチの段差で転倒する可能性が大きいと言えます。

自分の足が出している注意信号と考えましょう。

加齢による筋力の衰えは、自然です。

足の筋力の衰えに対応するために、
以下のことを日頃意識しながら歩いてみてはいかがでしょうか。

<足を心持ち上げ、踏みしめるように着地する>
足で地面を踏みしめるように歩きます。足を踏みしめようとすれば、
太ももを上げようとする意識が働きます。必然的に股関節を動かすことになり、
その結果、股関節の可動域が狭くなることを防ぐことにつながります。

<腕を前後に振ります>
手は軽く握り、歩調に合わせるように前後に振ります。

時間や距離は、各個人の足の調子によって違うでしょうが、
多少を問わず目標を持って続けることが、
転ばぬ先の杖となります。


加齢による転倒の危険性について

繁華街は多くの人が行き交い、いつも活気にあふれています。

やっと歩き始めたような子供から体育会系クラブ帰りの高校生、
仲良く歩く年配の夫婦など歳相応の歩調で歩いています。

また年令層が同じように思われる人でも、颯爽と歩く人もあれば、
疲れ気味なのでしょうか、歩幅も狭く猫背でとぼとぼ歩く人もいます。

歩くことは日常生活の中で多くの時間を費やす動作ですから、
特に気にかけることなどほとんどありません。

しかし、年令を重ねるに従って足の筋肉は衰えてきます。

加齢による歩行能力の衰えが原因となって、
転倒してしまう危険性が高まります。

バリアフリーは、加齢による足の能力の衰えをカバーする
という考え方から生まれたものです。

この発想は大いに尊重されるべきですが、
もう一つの考えとして、能力の衰えを予防するということも
大切なのではないでしょうか?

ではどのようなことに心がければ、
将来の転倒の危険性を軽減できるのでしょうか?

そのためには、加齢による歩き方の変化について
理解しておく必要があります。

○加齢に伴って変化する歩行動作
・歩行速度の低下
・一歩の長さ(歩幅)の減少
・一定時間に何歩すすんだか(歩調)の減少
・足が床に着いて体を支えている時間(支持時間)の増大
・両足が床に着いて体を支えている時間(両脚支持時間)の増大
・歩行中に下肢関節が運動した角度(下肢角度範囲)の減少
等です。

このような足の筋力の衰え、姿勢保持能力の低下、柔軟性の低下等が、
歩行動作の衰えといえます。

足に障害がある方をはじめ、各個人によって歩行運動の程度は違うのでしょうが、
今の自分の歩く能力を理解し、歩行能力を測る物差しを探しておけば、
現状の能力との差を知るために良いのではないでしょうか。

では、どのように物差しを探しましょう…。

そして、長続きして手軽にできる足の基礎運動とはどのようなものでしょう。

ー続くー

次回は、「歩くことを健康につなげるにために」です。


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