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大都会の真ん中に金の山

金の埋蔵量を世界で比較すると、
オーストラリア、南アフリカ、ロシア、チリ、インドネシアなどの国には、
多くの金が眠っています。

全世界の鉱山から掘り出され、金へと精錬される量は、
毎年およそ2400トンと言われています。

しかし、金の埋蔵量と生産量について試算すると、
20年ほどで世界中の金は掘り尽くされて無くなってしまうということが
危惧されています。

そこで、鉄やアルミニウムなどの金属がリサイクルされているように、
ゴミとして大量に廃棄される家電製品などの部品の中にある金についても、
有用な資源として再生しようという動きが高まっています。

そのような考え方は、
1980年代に東北大学の南條道夫教授らが提唱した
「都市鉱山」というアイディアであり、
日本文化の特徴でもある「もったいない」精神とも合致しています。

というのも、PETボトルリサイクル年次報告書(2005年度)によると、
日本国内のPETボトルの回収率は65.6%となっています。

この回収率は世界最高水準です。

EU諸国の回収率も年々上昇していますが、
同じ期間の調査結果と比較してみると、
34.6%(推定)と、
まだまだ日本の回収率には及びません。

これは資源が少ない日本国民が
資源を大切に利用していることを、
よく表している結果と言えます。

はじめにお話したように、金についても
同様なリサイクル産業が、国内で操業を始めています。

廃棄された携帯電話やスマートフォン、パソコンの部品から、
金などのレアメタル(希少金属※1)を回収する都市鉱山という考え方が
実践されています。

資源に恵まれていない日本ではありますが、
電子機器の部品に使用されている金などのレアメタルをリサイクルすることで、
高層ビルディングが立ち並ぶオフィス街が、
都市鉱山(英語ではurban mine:アーバン・マイン)となり、
金の埋蔵量世界一の国となる日も、そう遠くないかもしれません。

※1 レアメタル:レアメタル(希少金属)とは、非鉄金属の中で流通量が少なく、
希少な金属の総称です。主なものにコバルト、金、プラチナなどがあります。


世界一小さな国を守る人

世界には多くの国があります。

現在、国連に加盟している国の数は、
193か国(2015年11月現在)です。

それぞれの国には、風土や文化があり個性があります。

国の面積が世界一広い国は、
言わずと知れたロシアです。

細長くて小さな国のイメージがある日本は62位で、
ドイツよりも大きいということは意外です。

逆に世界一小さい国といえば、バチカン市国です。

国というよりは町といった方が納得するサイズの国ですが、
イタリア(ローマ)の中に位置する立派な独立国です。

人口はおよそ800人。

そのほとんどが聖職者と衛兵です。

ローマカトリック教会の総本山ですから、
聖職者の国籍はバチカン市国ですが、
警備する衛兵の国籍は、スイス人をはじめ様々です。

16世紀にミケランジェロがデザインしたと伝えられる、
青、黄、オレンジ縦縞模様の衛兵の軍服は、
イタリアの女性ばかりでなく、
世界中からやってくる観光客に人気があります。

衛兵になるためのリクルート条件は、
年齢19~およそ30歳までの独身男性。

身長は174センチ以上、カトリック教徒であり、
最近までは、スイス国籍であることが必須でした。

スイス国籍でなければならない条件は、
いまから700年以上も歴史を遡ります。

13世紀後半、神聖ローマ帝国の支配下にあったスイスは、
スイス同盟を結び、独立します。

独立する過程で優秀な軍隊を育てたスイスは、
その後、傭兵派遣を重要な産業とするようになります。

スイス軍の優秀さを示す史実として、
神聖ローマ帝国のカール大帝がバチカンに侵略を企てた時、
スイス人傭兵が、多くの犠牲を払いながらも法王を守り抜きました。

その勇敢さは法王の信頼を得て、バチカン市国の衛兵は、
スイス人でなければならないと定めます。

様々な侵略者と勇敢に戦ったスイス人衛兵隊でしたが、
現在ではこの出身地に関する条件は撤廃されています。

しかし、その名残りとして、
イタリア語が公用語のバチカン市国の中で
衛兵隊では、スイスの公用語であるドイツ語が使われています。

法王を守る役目を果たす衛兵隊ではありますが、
今では実務はイタリア警察が担い、
実戦用の武器を携行をしていません。

今でも手には斧と槍を装備していますが、
あくまでも象徴的な意味合いが強く、
実戦用の武器ではありません。

これからもバチカン市国衛兵が戦わない
平和な世界が続いてほしいものです。


紅葉の血液型

人の血液型は、大きくA型、B型、AB型、O型の4つに分類されます。

血液型占いや血液型による性格など、
真偽は別としても、
多くの人が血液型を気にしているのは事実です。

4つの血液型の特徴とは何なのでしょうか?

血液型は、血液に含まれる成分の違いによります。

赤血球の表面から出ている糖鎖構造に
ガラクト糖酸があればA型、
ガラクトースという糖があればB型、
両方の糖があればAB型、
どちらもなければO型になります。

日本人の場合、全体の40%がA型で一番多いのですが、
白色人種の場合は、A型、O型で80%、
黒色人種の場合は、O型の人が、50%を占めています。

血液型は、人間ばかりでなく
他の哺乳類にも存在します。

ヒトの血液型を調べるときと同様に、
血液の成分である赤血球と抗A抗体、抗B抗体を混ぜ、
その反応から血液型を特定する方法を用いて検査すると、
テナガザルの血液型は、A型、B型、AB型の3種類だということがわかっています。

チンパンジーには、A型、O型の2種類が存在します。

また動物ばかりでなく、植物にも血液型が存在します。

血液がない植物にも血液型が存在するということは不思議ですが、
前にも述べたように、
ガラクト糖酸とガラクトースのあるなしで血液型が違いますから、
植物においてもこれらの糖の存在次第で
血液型の分類は可能となります。

このルールに則って、分類すると
A型の植物:ヒサカキ、アオキ
B型の植物:セロリ、ツルマサキ
AB型の植物:ソバ、スモモ、バラ
O型の植物:ダイコン、ゴボウ、サザンカ、ツバキ
ということになります。

大変面白いのは、秋に紅葉するカエデには、
2種類の血液型があります。

しかも血液型の違いで紅葉の色も違っています。

赤く紅葉するカエデはO型で、
黄色く色づく紅葉はAB型です。

既に北海道では初雪が降ったというニュースも流れていますが、
南の方では、まだ冷え込む日があまりないため、
これからが本格的な紅葉でしょう。

カエデの血液型の違いを知りながらのモミジ狩りはいかがでしょうか?


車の「助手席」の始まりとは?

自動車の歴史を遡ってみると、
1769年、巨大な釜を乗せた車が走ったことが
始まりと言われています。

「キュニョーの砲車」とよばれるこの車は、
ルイ15世の治世のもとで、軍事力強化のため、
馬に頼っていた移動手段を機械化するために開発されたということです。

名前の由来は、大砲をけん引するための研究責任者が
キュニョーという人だったためです。

日本では江戸幕府の家老である田沼意次が、
幕府の税制改革を手がけていた頃の話です。

キュニョーの砲車の燃料は、薪でした。

それからおよそ40年後の1908年には、
アメリカのフォードが大衆車のT型を発売し、
世界はモータリゼーション(※1)の時代へと突き進みます。

ところで、運転手が座る席は運転席といいますが、
その横の座席を「助手席」と呼ぶのはなぜでしょうか?

英語では助手席のことを”passenger seat”、
直訳すると搭乗者席となります。

「助手席」という言葉の由来には、
いくつかの説がありますが、
誕生は、大正時代あたりと言われています。

当時の交通手段としては、
人力車が広く普及していましたが、
海外から自動車が輸入されるようになると、
高級な移動手段としてタクシーが登場します。

輸入された自動車は、
大柄な欧米人用の規格だったため、
和服を着た日本人にとって、車高が高く、
車の乗り降りは、裾が開けるなど一苦労でした。

そこでタクシーの運転席の隣に助手が座り、
お客の乗降を手助けしたそうです。

その席が「助手席」と呼ばれる所以は、
ここにあると言われています。

昭和に入ると、この助手さんは、
管理費が高くなるということで廃止されます。

※1モータリゼーション:英語のmotorizationとは、
「動力化」「自動車化」を意味する言葉です。
自動車が広く普及し、生活必需品となる現象のことです。


炭酸と二酸化炭素

動物は呼吸をすることで、体内に酸素を取り込んで、
二酸化炭素を体外に排出します。

酸素の分子式はO2(オーツー)、
二酸化炭素の分子式は、CO2(シーオーツー)です。

体中に取り込まれた酸素は、血液に溶け込み、
全身に運ばれます。

その酸素によって細胞の中あるミトコンドリアが化学反応を起し、
活動のためのエネルギーを生成します。

エネルギーを生成する過程で発生した二酸化炭素は、
酸素と交換された後、血液に取り込まれて、
肺に送り戻され、再度酸素と交換を繰り返し、
呼吸によって外へ排出されます。

二酸化炭素は、燃焼に伴う排出物ということです。

石油や石炭など化石燃料の大量使用によって、
空気中の二酸化炭素濃度が上がり、
その結果、地球が温暖化の方向へと進みつつあるということが、
世界的な問題となっています。

このように気体の二酸化炭素は、
やっかいな存在です。
(植物にとっては、光合成に不可欠の物質ではありますが…。)

気体の状態の二酸化炭素を、炭酸ガスとも呼びます。

炭酸ガスが個体になるまで冷却されるとドライアイスになります。

また炭酸ガスが水に溶けこむと炭酸水となります。

分子式は、H2CO3(エイチツーシーオースリー)です。

空中に浮遊する炭酸ガスは、ヒトにとってあまり役に立っていませんが、
炭酸水は、少し事情が変わります。

そのひとつが血行促進です。

炭酸泉で有名な大分県竹田市の長湯温泉には、

炭酸の含有率が市販の炭酸入浴剤よりも高濃度と言われる
「ラムネ温泉」があります。(※1)

二酸化炭素(炭酸ガス)が皮膚付近の毛細血管に沁みこむことによって、
血液中の二酸化炭素の濃度が上昇します。

そのため増えた分の二酸化炭素を早く排出しようと血流が増え、
血液の循環が促されます。

炭酸泉に入浴することで、冷え性、高血圧、肩凝りや血行障害の改善など
幅広い効能が期待できます。

※1 ラムネ温泉の炭酸濃度
竹田市の観光情報によると、長湯温泉の炭酸濃度は、
大手化学メーカー花王の炭酸入浴剤と比較した場合、
7倍以上と公式に認めています。


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