世界が認める「日本のモノ作り」の始まり
大型連休後半の初日となった5月3日、
世界文化遺産に登録される見通しとなった富岡製糸場(群馬県富岡市)には、
6000人以上の観光客が列をなして訪れたと、
ニュースなどで報道されたことをご存じの方は少なくないかもしれません。
正確には、群馬県富岡市の富岡製糸場と伊勢崎市、藤岡市、下仁田町の2市1町に
点在する養蚕関連の絹産業遺産群が、
世界遺産暫定リストの記載物件として以前から候補になっていました。
2014年4月26日に、ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関である
ICOMOS(イコモス)による勧告が、
ユネスコ世界遺産センターより通知されたと、
文化庁から発表されました。
イコモスの評価結果が、勧告と判断された場合、
当選とまでは発表できずとも当選確実ということで、
正式には、2014年6月15日からドーハ(カタール)で開催される
第38回世界遺産委員会で、登録が決定される事になります。
登録されると、日本で18番目の世界遺産になります。
近代産業遺産としては日本初であり、文化遺産としては14番目となります。
明治政府が、日本の近代化のために設置した
模範器械製糸場であった富岡製糸場は、
世界に誇れる品質のメイドインジャパンの先駆けといえます。
その結果、1920年代には高級繊維の絹を、
より身近な存在に変える生糸輸出国になり、
安価で良質な生糸を世界中に供給するまでになりました。
生糸ばかりでなく、生糸生産の自動化にも成功し、
自動繰糸機は世界へと輸出されました。
世界遺産に登録されたことで、
現在の建物の維持管理をいかに進めるかという問題はありますが、
富岡製糸場と絹産業遺産群が登録されると、
イギリスのアイアンブリッジやフランス王立製塩所、インドのダージリン・ヒマラヤ鉄道など、
世界の貴重な近代産業遺産肩を並べることになります。