チーズの穴の正体

哺乳類の赤ちゃんは、
生まれてからしばらくの間は、
お母さんのミルクだけで育ちます。

そのためミルクは、
成長に必要な栄養素が
バランスの良く含まれている
完全食品といえるでしょう。

一方、人によっては、
牛乳を飲むとお腹の具合が
悪くなる方もいらっしゃいますが、
これは牛乳に含まれている
乳糖が原因です。

しかし、チーズであれば、
チーズの熟成過程中に、
お腹ゴロゴロの原因となる乳糖は、
乳酸菌の栄養源になるため
お腹に優しい乳製品といえます。

カマンベールチーズ、
ゴーダチーズ、
チェダーチーズなど
様々なチーズがある中で、
漫画や挿し絵などで描かれる
チーズで圧倒的に多いのが、
スイスの代表的なチーズである、
エメンタールチーズです。※1

いわゆる穴あきチーズです。

欧米でも同様に、
チーズを絵で描くと
エメンタールチーズの絵となるようです。

チーズの特徴を伝えやすいことが、
一番の理由でしょう。

この穴は、「ガスホール」と呼ばれ、
その直径は、1~3cmぐらいです。

この穴の正体は、
製造過程で
プロピオン酸菌という乳酸菌を使って
発酵させる際に、
炭酸ガスが発生することによってできます。

チーズの目(チーズアイ)とも言われ、
発酵の状態が良く、
質のよいエメンタールチーズは、
穴の大きさが揃い、
丸い綺麗な形をしています。

ナチュラルチーズ全体で見れば、
穴のあいたチーズはむしろ少なく、
エメンタールは例外と言ってもよいくらいです。

チーズの王様とも呼ばれるこのチーズは、
スイスのベルン北東部エメン渓谷付近の
エメンタール地方が原産で、
チーズフォンデュに使われるチーズとしても有名です。

分類上はハードタイプのチーズ※2で、
重量は100kg前後もあり、
エメンタールは世界の中でも特に大きなチーズです。

※1 エメンタールチーズ:2003年度の統計によると
スイスのチーズ総輸出量は54,844トンで、
エメンタールチーズが5割を占めています。
※2 ハードタイプチーズ:製造過程で水分が38%以下。
熟成期間が6~10ヵ月ぐらいと長く、
非常に硬く、濃厚な旨みのあるチーズに仕上がります。
食べ頃は、製造後6~8ヵ月、
長いものでは、12ヶ月ほどになります。
一個の重さは、20kgから重いもので130kgにもなります。


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