ラムネとビー玉の複雑な縁

大分県の日田市に明治32年創業という
老舗の味噌・醤油蔵があります。

ここではラムネの製造も行なっています。

それなりの年代以上の方にとって、
駄菓子屋の店先に置かれれたバケツで冷やされたラムネは、
懐かしい夏の風物詩でした。

ラムネの栓代わりのビー玉を、おもいっきり押し込んで、
吹き出る甘い炭酸水を慌てて飲むという記憶は、
少なからず持たれているのではないでしょうか?

私たちが日頃、
ラムネ瓶の栓として使われているガラス玉を、
ビー玉と呼びますが、
あの玉の正式名称は、
エー玉であることを知っている人は、
多くありません。

明治時代から炭酸水の栓として
ガラス玉が使われていましたが、
当時はすべて手作りでガラス玉を作っていたため、
さまざまな大きさのものが出来てしまいました。

その製造工程で、
甘い炭酸水を封入する瓶のフタとして、
合格した玉をA玉(読み:えーだま)、
使えない不良品をB玉(読み:びーだま)として選別し、
合格したエー玉だけを栓として使い、
不良品のビー玉は、もう一度溶かして再利用していました。

ところが廃棄されるビー玉がもったいないということで、
大阪の商人が規格外のガラス玉を
子供向けに、ビー玉として売ったところ、大好評となり
ガラス玉=ビー玉という名前が、まかり通るようになりました。

今では様々な色のガラスが封入された
カラフルなビー玉もありますが、
実は、製品にならないB級品が名前の由来になったとは、
とても興味深いです。

ラムネの瓶として使われているA級品のガラス玉も
ビー玉と呼ばれ、
ガラス玉としては、不本意な思いもあるのでしょうが、
しっかり栓としてお役に立っているのですから
それでも良いのでしょうね。

ちなみにビー玉の名前由来の別説として、
ビードロ(江戸・明治頃のガラスの総称)が
ビー玉の元になっているという説もありますが、
明治創業の老舗の説明であることを考えると、
B級品の説がより信頼できると考えます。

暑さが厳しい時期の水分不足は、熱中症に直結しますので、
ビー玉の涼やかな音を聞きながら、ラムネを飲むのも
暑気払いのひとつとしていかがでしょうか?


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