海苔と日本人の相思相愛について

海苔と日本人の相思相愛について

周りを海に囲まれた日本ですから、海から獲れる食材と関わる暮らしは、
はるか昔から継がれています。

多くの方が歴史の授業で習われたと思いますが、
今から約1万6,500年前の縄文時代(じょうもんじだい)の貝塚から
発見される貝殻や魚の骨は、無言ながら雄弁にその事実を示しています。

残念ながら当時、海藻を食べていたという確証はありませんが、
可能性は大いにあるでしょう。

その後702年(大宝2年)執行された大宝律令(※1)には、
租税の対象として海苔が記載されています。

当時の食べ方は、乾燥した板海苔ではなく、生食が中心だったようです。

生で食べられていた頃の海苔は、季節の食べ物でしたが、
現在市販されている板海苔の製法が完成すると、
乾物として保存ができるようになったため、運送も容易になり、
海苔は広く日本で普及します。

千年をこす海苔とのつき合いは、腸内にある細菌にも影響を与えています。

フランスのロスコフ生物学研究所(Station Biologique de Roscoff)の
研究チームは、日本人の排泄物からしか見つからない
腸内微生物(Bacteroides plebeius)が、アマノリ属の海草、
つまり海苔に含まれる多糖類を分解する酵素を持っていることを発見しました。
(※2)

かつて日本人の先祖が、海苔を生のままで食べていたことで、
海洋性バクテリアが持つ分解能力を腸内微生物が取り込んだことが
その原因だと推測されています。

※1:大宝律令が執行された2月6日は「海苔の日」となっています。
※2:被験者になった北アメリカ在住の18人と日本人を比較した結果です。
   Pourquoi les Japonais dige`rent facilement les sushis
   Paris, 7 avril 2010


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