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大地のりんご「ジャガイモ」

カレー、肉じゃが、コロッケ、ポテトチップスなど、
ジャガイモは、私達にとって大変馴染み深い食材です。

世界の五大食用作物の一つであるジャガイモは、
南米大陸のアンデス山脈の高地が原産といわれ、
16世紀にスペイン人がヨーロッパへと広めます。

日本には、戦国時代の終わりである1600年頃に
観賞用の花として、
ジャカルタ港からオランダ船で運ばれてきました。

日本名のジャガイモという名前の由来は、
ジャカルタから持ち込まれたイモという説が有力です。

世界には約2000種類以上の品種があると言われ、
日本ではその内のおよそ20種類が栽培されています。

中でも男爵いもとメークインは、2大品種です。

でんぷんが多く含まれる色白の男爵いもは、
ホクホクした食感が特徴で、コロッケや粉ふきいも、
マッシュポテトにむいています。

イギリス生まれで、やや黄色みがかったメークインは、
煮くずれしにくいため、
肉ジャガやカレーライスなどの煮こみ料理に向いています。

日本人に大人気のジャガイモは、
実は栄養面でも大変優れた食材です。

ビタミンCに関しては、含有量がりんごよりも多く、
ジャガイモに含まれるビタミンCは、
デンプンに保護されるため、加熱による損失が少なく、
煮ても焼いても壊れにくい特性を持っています。

ビタミンCばかりでなくカリウムも多く含むジャガイモを、
フランスでは、大地のリンゴ(pomme de terre:ポム・ド・テール)と
呼んでいます。

今晩のお食事に、
新ジャガを使ったひと品をいかがでしょうか?


アミノ酸スコアとは?

たんぱく質は、体の中で合成と分解を繰り返しています。

代謝される速度は、種類によって異なりますが、
分解されてアミノ酸となり、
その一部は尿素などに合成されて体外に失われます。

成長期には、新生組織の蓄積に必要なたんぱく質を
摂らなければなりません。

日々の摂取量に違いはあるものの、
成人であってもたんぱく質を食事から補給する必要があります。

たとえダイエット中であっても、
三大栄養素の一つであるたんぱく質が、
不足してはいけません。

カロリーを消費するのは、体を構成する筋肉であり、
その筋肉の主な組成は、たんぱく質だからです。

筋肉ばかりでなく内臓、髪の毛などを作る栄養素でもあるたんぱく質は、
大きく分けると肉や魚などの動物から得られる動物性たんぱく質と
大豆などの植物から得られる植物性たんぱく質に分かれます。

動物性タンパク質は、
人間のたんぱく質の組成と近いアミノ酸組成であるため、
アミノ酸スコアが高いです。

アミノ酸スコアとは、健康な体を維持するための
理想的な必須アミノ酸の量と組み合わせのバランスを点数化したものです。

必須アミノ酸(9種類)は、体内で組成することができません。※1

そこで日々の食事から摂取する必要がありますが、
骨や血液、筋肉を作るのに必要なタンパク質を合成するためには、
ひとつでも必須アミノ酸が不足するとできません。

たとえば8種類の必須アミノ酸が100%あっても、
ロイシンが40%しかない場合、
その食品のアミノ酸スコアは40クラスということになります。

【アミノ酸スコアの高い食材】
アミノ酸スコア100:豚肉、卵、牛肉、かつおなど
アミノ酸スコア90:ベーコン、チーズ、しじみ、そばなど
アミノ酸スコア80:さつまいも、豆腐、昆布、キウイなど

※1:必須アミノ酸:リジン、フェニルアラニン、ロイシン、イソロイシン、
メチオニン、バリン、スレオニン、トリプトファン、ヒスチジン


古式サプリメント「米ぬか」

最近では、めっきり自家製のぬか床を使った漬物を
食べる機会は少なくなりました。

かつて各家庭にあったぬか床には、
その家独自の発酵菌が棲んでいたため、
嫁ぐ娘への嫁入り道具だった時代もありました。

ぬか床の中には、様々な菌が共生しています。

主に乳酸菌、産膜酵母菌や酪酸菌、
美味しい漬物には縁のない雑菌もいます。

空気を好きな菌と嫌いな菌が同居いているぬか床は、
独特の匂いが発生するので、
台所から遠ざけられたという歴史はありますが、
近年、整腸作用という点でぬか床が見直されています。

ぬか床に棲む酪酸菌は、腸内にも存在する乳酸菌の仲間で、
プロバイオティクス(腸内細菌のバランスを調節し、
宿主に有益な作用を与える微生物)として、
よい影響を与えます。

千葉医科大学衛生学教室(現 千葉大学医学部)の宮入近治博士が、
1933年に報告した酪酸菌のMIYAIRI株は、
胃酸や熱に対して抵抗性があり、
腸内有益菌と共生することで整腸効果を発揮します。

いわゆる善玉菌である酪酸菌は、
ぬか漬けに付いたぬかを食べることで簡単に摂ることが出来ます。

長年の間、御飯の脇役として食卓をなにげなく飾っているぬか漬けは、
古式のサプリメントとも言えます。

また、石鹸や美顔パックといった美容にも利用されている米ぬかは、
私達の生活の中で忘れてはならない食材として、
見なおされ、様々な利用法が研究されています。


世界が認める「日本のモノ作り」の始まり

大型連休後半の初日となった5月3日、
世界文化遺産に登録される見通しとなった富岡製糸場(群馬県富岡市)には、
6000人以上の観光客が列をなして訪れたと、
ニュースなどで報道されたことをご存じの方は少なくないかもしれません。

正確には、群馬県富岡市の富岡製糸場と伊勢崎市、藤岡市、下仁田町の2市1町に
点在する養蚕関連の絹産業遺産群が、
世界遺産暫定リストの記載物件として以前から候補になっていました。

2014年4月26日に、ユネスコ世界遺産委員会の諮問機関である
ICOMOS(イコモス)による勧告が、
ユネスコ世界遺産センターより通知されたと、
文化庁から発表されました。

イコモスの評価結果が、勧告と判断された場合、
当選とまでは発表できずとも当選確実ということで、
正式には、2014年6月15日からドーハ(カタール)で開催される
第38回世界遺産委員会で、登録が決定される事になります。

登録されると、日本で18番目の世界遺産になります。

近代産業遺産としては日本初であり、文化遺産としては14番目となります。

明治政府が、日本の近代化のために設置した
模範器械製糸場であった富岡製糸場は、
世界に誇れる品質のメイドインジャパンの先駆けといえます。

その結果、1920年代には高級繊維の絹を、
より身近な存在に変える生糸輸出国になり、
安価で良質な生糸を世界中に供給するまでになりました。

生糸ばかりでなく、生糸生産の自動化にも成功し、
自動繰糸機は世界へと輸出されました。

世界遺産に登録されたことで、
現在の建物の維持管理をいかに進めるかという問題はありますが、
富岡製糸場と絹産業遺産群が登録されると、
イギリスのアイアンブリッジやフランス王立製塩所、インドのダージリン・ヒマラヤ鉄道など、
世界の貴重な近代産業遺産肩を並べることになります。


フラダンスで旅気分ダイエット

ゴールデンウィーク中に出国する日本人は、
140万人を超えると言われています。(2012年総務省統計局)

国内旅行と同じくらいの費用で利用できる海外ツアーもあるため、
数日間を一足早い夏のリゾート地で過ごす人も少なくありません。

人気の観光地は数多くありますが、その中でもハワイは、
常にベスト10にランクインしています。

アメリカ合衆国の50番目の州に認められたのは、1959年のことです。

その後、常夏のリゾート地として瞬く間に観光地として開発され、
世界中から旅行者が訪れるようになりました。

かつて、人知れず広大な太平洋の真ん中にぽつんと位置するハワイは、
太平洋の民であるポリネシア人が、伝統を守りつつ穏やかな生活を営んでいました。

しかし、1778年にジェームズ・クックが発見された後は、
島の外から様々な文化や物が持ち込まれ、
国の形が次々と変わりながら、
近代化の波へ飲み込まれることとなります。

しかし民族の文化は、形を変えながらも受け継がれています。

そのハワイ文化の代表といえば、フラダンスでしょう。

「フラ」とは、ハワイ語では、ダンスという意味で、
日本であれば「能楽」といった存在です。

ハワイでは、海・山・太陽などすべてに神が存在すると信じられ、
文字を持たなかったハワイの人々は、
その精神をダンスで表現し伝承してきました。

映画「フラガール」をはじめ、
ハワイを取り上げたテレビの旅番組で、フラダンスはよく紹介されるため、
日本でも、若年から年配者まで多くの人たちに知られています。

長い歴史を持つフラダンスは、
神々に感謝し、崇め讃える気持ちを、指使いや体の動きで表現するため、
その優雅な魅力に惹かれて、趣味で踊る人達が世界中に数多くいます。

日本でも、競技会形式のコンペティションが開かれるほどの人気があります。

フラダンスの動きはゆったりしていて楽なように見えますが、
太極拳のように四肢に神経を集中し、体全体を使う有酸素運動であるため、
ダイエットを目的とした人たちも、フラダンスを取り入れています。

美しいコスチュームでしなやかに踊りながら、
下半身の筋力アップと脂肪燃焼も期待できるフラダンスは、
心と体を綺麗にする異文化体験と言えるでしょう。


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