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お米の栄養

食の多様化によって、
朝食に和食を出さなくなる家庭が増えていることは、
周知の事実です。

出勤登校前の忙しい朝食の時間には、
簡単に食事を済ませられる食パン・菓子パンは便利ですから、
「新米が出る時期のコメ屋は忙しいので、朝食はパンで済ませる。」
といった笑い話にも、なぜか納得してしまいます。

2013年に世界文化遺産に登録された和食の国の実態としては、
なんとも複雑な状況です。

お米と日本人の関わりは非常に古く、
少なくとも3000年以上前の縄文時代から
日本人がお米をつくっていたことが明らかになっています。

岡山県では、およそ2500年前の水田が発見されています。

その後、弥生時代にかけて、
お米づくりは日本中に広がっていきます。

それ以来、日本の主食として、
なくてはならない食卓の主役です。

お米は、貴重な栄養源として大変バランスが良い食材です。

炭水化物というイメージが強いですが、
精白米100gあたりの炭水化物は、77.1%と多いものの、
タンパク質も6.1%含む、大変優秀な農作物です。※1

茶碗一杯のご飯(およそ150g)の中の栄養を、
身近な野菜に置き換えると、
プチトマト3個分のカルシウム、
とうもろこし1/3本分の鉄、
さやえんどう12枚分のビタミンB、
レタス1枚半分の食物繊維が含まれています。

老化防止ビタミンであるビタミンEは、
ゴマ小さじ8杯分が摂れます。

天候不順による野菜の値段高騰の中、
お米は、年中安心して食べられる食物といえます。

※1:五訂増補日本食品標準成分表


お米と田んぼの価値

梅雨のシーズンになり、
秋から休んでいた田んぼもすっかり代掻きが終わり、
(しろかき:田植の前に水田に水を入れ、面を平らにする作業)
田植えの済んだ田んぼでは、
早苗がすくすくと育っています。

ずいぶんと洋食化が進み、
消費量が減ったとは言え、
日本人の主食は、お米です。

日頃、何気なく食べているお米ですが、
普通のお茶碗いっぱいのご飯の量について
ご存知でしょうか?

国の調査(※1)では、
炊きあがったお茶わん1杯のごはんの重さは、
およそ150グラム。

これを炊飯前の精米に置き換えると
65グラムぐらいになります。

その粒数は、およそ3250粒です。

収穫される時期の稲の1株は、
22本ぐらいの穂があり、
1穂には、およそ70~80粒のモミがついていますから、
ざっと2株でお茶碗一杯のご飯というという概算になります。
※2

家計という面から見ると、
お米の品種や購入する場所によって多少違いますが、
65グラムの精米の値段は、
平均するとおよそ33円です。

同じ調査で費用という面から比較すると、
食パン1食分(6枚切りを2枚分)は約50円、
ハンバーガー1個は159円、
ポテトチップス1袋(60~95グラム)は約152円となります。

ご飯一膳にちょっとした漬物を付けたとしても、
お財布に一番やさしいのはお米ということになります。

また、田んぼには、大雨の時に水を貯留させ、
下流域の洪水を軽減させる効果があります。

田んぼに水を貯めると、
夏場の「水打ち」と同じ効果によって、
周辺の気温が下がり、
ヒートアイランド現象を防止する効果など、
環境面からも日本の米作りは貴重だといえます。

※1 総務省 小売物価統計調査(平成25年度)
※2 参考データ:(公社)米穀安定供給確保支援機構


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