海藻は栄養の宝箱

海藻は、低カロリーでありながら
脂質、糖質、さらにカルシウム、カリウム、マグネシウム、ヨウ素、鉄、亜鉛などのミネラル、
食物繊維、ビタミン類やタンパク質が豊富に含まれる
「海の野菜」ともいわれる優秀な食材です。

必要な栄養素がバランスよく含まれるため、
生物の起源が海から始まったということを
改めて知る食材とも言えます。

ある意味、周りを海に囲まれている日本は、
野菜畑に囲まれた幸せな国といえます。

しかも日本人は、海の野菜である海藻を
日頃の食事の中に良く取り込んでいます。

海藻は、緑藻類、褐藻類、紅藻類に分けられます。

緑藻類には青のりや青さがあります。
関西のタコヤキ、お好み焼きなど粉モンには欠かせません。

褐藻類には、わかめ、ひじき、こんぶ、もずくがあります。
褐藻類は、まさしく和食の根っことなる食材です。

紅藻類には、あまのりやてんぐさがあります。
あまのりは、海苔の佃煮や焼き海苔に加工されます。

またてんぐさは、ところてんや寒天の材料として加工されます。

日本人にとって、食事と密接に関わる海藻は、
今も昔や「ごはんの友」であり続けるでしょう。


「々」の字、読み方は?

津々浦々とは、
文字自体の意味は小さな港や海岸に至るまでということですが、
会話の中では、全国いたるところという意味になります。

この四文字熟語の「々」はそれぞれ、
津という字が続く、浦という字が続くという場合に使われますが、
「々」という字は単独で使われることはありません。

では「々」という字の読みは何でしょうか。

正解は:この字の”読み”はありません。
という不思議な答えです。

「凸」や「♂」など記号のような文字もありますが、
「凸」の読みは「とつ」、
「♂」の読みは「おす」ということで、
ちゃんとした「読み」があります。

時々の「々」、学問のすゝめの「ゝ」などの文字は、
踊り字と呼ばれる記号の一種で、
主に日本語の表記で使用される約物(特殊記号)です。

漢字のように見えますが、反復記号の一種です。

私たちの暮らしの中でよく使う字で、
意外にその正体を詳しく知らない文字はまだあります。

「〆(しめ)」は日本で作られた和製漢字で、
国字(こくじ)という分類に入ります。

「峠」や「働」も同様です。

メイドインジャパンの漢字「国字」は、
見ても楽しめる字が多いです。

「鰯」保存に弱い魚と書いてイワシ。

では、「俥」という字は、どのような読みなのかご存知でしょうか?
※答えは一番下にあります。

アルファベットと違って漢字の場合、
1文字を書くために複数の線を書く必要があります。

その手間を簡略にするため、
赤裸裸→赤裸々のように同じ字が続くときには、
一字だけを書き、それに続く文字は繰り返しを表す
記号を付け足すことで表現するようになりました。

踊り字の歴史は古く、
紀元前900年頃に書かれた金文(青銅器などに刻まれた文)には、
連続する同じ文字を省略する記述が、既に見られます。

鎌倉時代初期の公家であった藤原定家の更級日記写本にも、
踊り字が使われています。

第二次世界大戦終戦の翌年である1946年(昭和21年)3月、
文部省教科書局調査課国語調査室が
各種の教科書や文書などの国語の表記法を統一し、
その基準を示すために編纂した四編の冊子を出しました。

そのうちの一編は、
「くりかへし符号の使ひ方〔をどり字法〕(案)」でした。

踊り字の使い方の左右されます定められてからすでに半世紀以上が経ちますが、
21世紀の現在でも公用文、学校教育現場で参考にされています。

同の字点と呼ばれる「々」は、
基本的には漢字の後ろにつけて用い、漢字一字を表します。

使用例としては、
「佐佐木」→「佐々木」
「正正堂堂」→「正々堂々」
「一歩一歩」→「一歩々々」
ということになります。

簿記などで「以下は同じ」という表現で、
同じ数字や語句を表すものを、「〃」と書きます。

呼び方は「ノノ点」です。

外国語で用いられる「”」から転化したもので、
イタリア語のDitto、日本語に直すと「同上」という意味です。

「々」や「〃」は音で表せませんので、
パソコンでこれらの字を単独で変換する場合は、
「おなじ」で変換できます。

【文中の問題】「俥」とはどのような意味があるのでしょう?
解答:『人力車』です。
読みは、「くるま」です。
意味は、人を乗せて人がひくものとして作られた車。人力車。
明治時代に町中を疾走していた人力車を彷彿とさせる国字です。
※参考文献:新漢語林第二版 大修館書店


小学校の黒板が緑色になったのは?

学校の授業では、絶対的存在である黒板ですが、
最近の黒板は、黒というより緑色です。

明治時代には、黒板の原点ともいえる「塗板」が誕生し、
主に寺子屋などで使われるようになります。
ただし黒板というより掲示板程度の大きさでした。

明治5年(1872年)日本の学校制度が開始された年に、
アメリカから書き消しが可能な大型の黒い板、
いわゆるblackboard(ブラックボード)が東京大学の前身であった
大学南校に初めてお目見えしました。

数年後には、 国産の黒板製造も始まります。
当初は、墨汁を塗った板に柿渋を上塗りしたものや、
硫酸鉄と煎液の混合液を塗った簡易的なものでした。

その後、国産の黒板製造会社で黒板が作られるようになると、
全国に普及します。

第二次世界大戦後、
黒板塗料の材料である漆の調達が困難になる時代もありましたが、
黒板の色は黒のままでした。

昭和29年にJIS規格が制定され、
塗面は黒から緑に変わりました。

■忙中閑有り…
小学生時代の掃除の時間に、
黒板消しを叩くとモウモウとチョークの粉が舞い、
閉口したものですが、チョークの原料が何かご存じですか?
※答えはこのコラムの一番下にあります。

その後、校舎の建て替えのときや、
老朽した黒板を付け替える際に、
黒い黒板は緑色の黒板へと交換され、黒い黒板は姿を消します。

今でも歴史ある公共の建物に黒い黒板を見かけることがあります。
個人的には、郷愁の黒い黒板ということになるのでしょうか。

子供時代と黒板は、切っても切れない関係ですから、
学びやいたずら書きを含め、
黒板の思い出はきっとあるはずです。

平成時代の小学生にとっては、書いて字のごとく
黒い色の黒板を見る機会はほとんどないでしょう。

■チョークの原料は『硫酸カルシウムと炭酸カルシウム』です。
一般的にチョークの主成分は、この2種類です。
石膏の主成分の硫酸カルシウムのチョークは、
柔らかく軽い為、太い線が簡単に引けます。

もう一つは、貝殻や卵の殻を加工した炭酸カルシウムを
圧縮して整形したチョークです。
固くて重いので、細い線になります。


桜の花と樹の命

桜の花が開花したという便りが
届いたかと思う間もなく、
満開となりました。

百人一首に、
『ひさかたの 光のどけき 春の日に
しずこころ(静心)なく 花の散るらむ』(紀友則)
という有名な歌があります。

桜の花が、散り急ぐ様子を惜しむ歌とされていますが、
桜の花が咲く季節になると、
「いつ咲くのか」「見頃はいつか」「いつまで咲いているのか」
と、まさに落ち着きをなくしてしまうのは、
私たち人間側のようです。

一斉に咲き誇った花が散ってしまうと、
青々とした葉が生い茂りますが、
実を見かけることはあまりありませんね。

桜の木には、様々な種類がありますが、
全国に広く植えられて、桜並木になっているのは、
ソメイヨシノと言われる品種です。

ソメイヨシノは、
『オオシマザクラ』と『エドヒガシ』という2つの野生種から、
観賞用として品種改良されたものです。

ヤマザクラなどの他の品種の台木に、
ソメイヨシノの枝を短く切った穂木をつなぐという
接ぎ木という方法で、大量生産されました。

穂木は、元々一本の木なので、
ソメイヨシノは、みな同じDNAをもつ
クローン植物ということになります。

桜は、同じ個体では、
受粉しないという性質を持っているため、
たとえ何百本という桜が並んでいても、
実はなりません。

古くから、日本人が愛してやまない桜の花は、
まさに日本のシンボルであり、
花見という文化も、広く世界に認知され始めています。

しかし、ソメイヨシノは、菌に弱く、
樹齢40年を超えると樹勢衰退の危険度が増し、
寿命が60年しかないという説もあります。

人々を楽しませるために植えられた桜の木が、
大きく育つと通行の邪魔になるからと
枝を切られるのはよくあることです。

また、心無い花見客によって、
枝を折られたり、根を踏み荒されたりと
満身創痍の状態で踏ん張っている状態なのかも知れません。

樹木の寿命は、周囲の環境により左右されます。

もともと人間の手によって
生み出されたソメイヨシノの桜の木。

枯らさないように、大切に守り育てるのは、
私たちの使命なのではないでしょうか。


日本生まれの漢字

私たち日本人が、
共通して使う文字は、
ひらがな・カタカナ、そして漢字です。

漢字がいつ頃に生まれたかは
定かではありません。

漢字のルーツと言われているのは、
約3500年前の甲骨文字(こうこうつもじ)
とされています。

甲骨文字は、
占い結果を亀の甲羅や牛の骨に
記録したものです。

その後、後漢の時代(約1800年前)に、
大きさをそろえて一点一画を丁寧に書く
「楷書」が作られました。

これが、現在の漢字の標準と
なっています。

書類を書く際に
「楷書ではっきりとお書きください」という注意書きは、
よく見かけます。

漢字は、その後も次々と
中国からもたらされましたが、
漢字は、伝わった日本の中で進化し、
新しい漢字=国字が生まれました。

日本生まれの国字には、
「山の上り下りの場所=峠(とうげ)」
「上下そろえの衣=裃(かみしも)」
「美しい身だしなみ=躾(しつけ)」など、
日本人のくらしや文化が
そのまま新しい漢字になっています。

日々の生活に根ざしている
言葉である国字には、
見て楽しい文字も多くあります。

「車で雪をすべるので=轌(そり)」
「人が車をひく=俥(くるま:人力車)」
「毛を少なくする=毟る(むしる)」などなど、
かつて国字を作った知識人が、
文字の楽しさを
私たちに伝えるための遊び心も感じられます。

中国から伝えられた漢字は、
日本で新たな言葉として生まれ、
本家の中国へ里帰りした漢字も
少なくありません。

中国で1982年に出版された
「漢字外来語詞典」という辞書には、
歌舞伎、茶道をはじめ、
日本人が創り出した漢字が、
中国へと伝わった文字として
数多く収められています。