ハチミツの危機上陸

ミツバチが日本の歴史に初めて登場したのは、
西暦643年(皇極2年)「日本書紀」です。

奈良時代には、天平11年(739)に渤海国(※1)から
貴重な薬として献上されたと記されています。

その後、本格的に養蜂が行われるようになったのは
江戸時代からです。

この頃のミツバチは、日本の古来種であるニホンミツバチでした。

明治維新後、ハチミツの収穫量の向上を目的として、
アメリカからイタリア国種のミツバチが輸入されます。

第二次世界大戦の混乱や貿易の自由化などにより
現在の養蜂を取り巻く環境は厳しくなっていますが、
それでもミツバチを飼育している農家の戸数は、
2014年(平成26年)時点で、9,306戸となっています。

ミツバチの仕事は、
花の蜜を集めるだけではありません。

生食の消費量が世界一のイチゴ栽培をはじめ、
農産物の花粉交配でのミツバチの重要性は増し、
受粉が農産物生産の35%を支えています。

家畜としてのミツバチの総産出額は 3,500億円にのぼり、
98%が花粉媒介用のミツバチの働きということになっています。(※2)

ところが、この可愛い働き者であるミツバチを激減させる敵が、
大陸から上陸したというニュースが報道されました。

その恐ろしい敵とは、外来種であるツマアカスズメバチです。

このスズメバチは、攻撃性が高く、
一度獲物・敵と定めた相手に対しては、
執拗に攻撃をくり返す習性があります。

ツマアカスズメバチが増加すると、
エサとして好んで捕獲するセイヨウミツバチが、
格好の標的となります。

ミツバチに受粉の手伝いをしてもらっている
野菜のかぼちゃ、ナス、きゅうり、トマト、ピーマン、ズッキーニ、
フルーツのいちご、すいか、メロン、なしなどの
生産に深刻な被害を受けることが心配されています。

このハチは、日本だけではなくて、
中国や台湾、東南アジア諸国で被害を与えているため、
世界規模の対策が検討されています。

※1 渤海国:満洲から朝鮮半島北部、現ロシアの沿海地方にかけて、
かつて存在した国家
※2 ハチミツ生産について:一般社団法人 日本養蜂協会ホームページより


一覧に戻る