地球を救うエネルギーの種
南米原産のジャトロファは、
ランプ用の油や薬用石鹸の原料として利用されていますが、
近年では、エンジンや発電機用バイオディーゼル燃料の研究が
世界各地で進められています。
ご存知のように産業革命以降、
石油や石炭などの化石燃料が盛んに使われるようになり、
空気中の二酸化炭素の濃度が急激に上昇しています。
温室効果により地上の平均温度が上昇し、
それが原因と考えられる異常気象が、
世界各地で発生しています。
そこで化石燃料に代わるエネルギーのひとつとして、
ジャトロファの油を使うことが出来ないかという研究が
注目されています。
もともとジャトロファは、原産地の南米でも、
種子を絞ってランプ用の油として利用していました。
第二次世界大戦中の日本軍も
ジャトロファの油に注目をしていました。
戦況が悪化する中、戦闘機用の燃料として
ジャトロファの絞り油を利用できないか検討するため、
当時占領下にあったインドネシアや台湾に
ジャトロファを植えました。
戦闘機の燃料として使ったかの記録は残っていませんが、
戦後も成長が早いジャトロファは、
そのままインドネシアで分布を広げました。
ジャトロファは早熟なだけでなく、
成長後約50年に渡って実をつけるため、
バイオエネルギーの植物資源として
安定的に利用することが可能です。
植物であるジャトロファは、
大気中の二酸化炭素を吸収し、
光合成によって養分を作り、
種子にその養分を蓄えます。
したがってジャトロファの種子油が、
燃料として使用され、
二酸化炭素を排出したとしても、
空気中の二酸化炭素の量は、
ほぼプラスマイナスゼロとなります。
例えば石油から生成されるディーゼル燃料を
ジャトロファ油から生成したバイオディーゼル燃料に
置き換えることが出来れば、
大気中の二酸化炭素の増加を防ぐことができ、
温暖化対策へもつながることが期待されます。
小さな植物の種に、
地球の危機を救う可能性が秘められています。