臭う汗の起源
気温が高い時、ヒトの体は汗をかくことで体温を調節しますが、
体臭が気になる女性にとっては、汗をかくことは、
やっかいな問題です。
個人差はありますが、
ヒトは、1日に約1リットルの水分を
汗として体の外に出しています。
特に真夏では室内にいても約3リットル、
日差しが厳しい日中に外を歩くと
1時間で、0.5リットルの汗をかくこともあります。
汗の原料は血液です。
脳に体温が上昇したという情報を受けると、
血液中の水分が汗腺に取り込まれ、
汗を表皮表面に出します。
汗は、体の表面全体を覆っている
エクリン腺という汗腺で造られます。
またアポクリン腺という汗腺からも汗は出されています。
ただし、アポクリン腺は、
思春期にならないと分泌が始まりません。
アポクリン腺は、
脇の下、乳首の廻り、外陰部、肛門の周囲などに分布し、
体温とは関係なく働いています。
体臭の元となる汗は、アポクリン腺汗からでる汗です。
元来、汗に臭いはないのですが、
アポクリン腺から一緒にでる脂肪やタンパク質が
皮膚表面の常在菌によって分解されると
腐敗臭の元、つまり体臭になります。
女性の場合、アポクリン腺から分泌される臭い物質は
性周期と関係しています。
人間の祖先は、
アポクリン腺から分泌される臭い物質によって、
交尾の時期を見極める信号とし
て使っていたと推測できます。
現代においても、
排卵期や生理直前に
体臭が強くなると感じる女性は、
少なくありません。
更年期を過ぎると、
体臭の悩みが減少する傾向にあるのも、
性ホルモンと体臭の関連性を示唆しています。
現在のヒトでは繁殖のために備わった
臭いを発する機能は、
退化しているのですが、
やっかいなことに今でも影響を受けています。