車の「助手席」の始まりとは?

自動車の歴史を遡ってみると、
1769年、巨大な釜を乗せた車が走ったことが
始まりと言われています。

「キュニョーの砲車」とよばれるこの車は、
ルイ15世の治世のもとで、軍事力強化のため、
馬に頼っていた移動手段を機械化するために開発されたということです。

名前の由来は、大砲をけん引するための研究責任者が
キュニョーという人だったためです。

日本では江戸幕府の家老である田沼意次が、
幕府の税制改革を手がけていた頃の話です。

キュニョーの砲車の燃料は、薪でした。

それからおよそ40年後の1908年には、
アメリカのフォードが大衆車のT型を発売し、
世界はモータリゼーション(※1)の時代へと突き進みます。

ところで、運転手が座る席は運転席といいますが、
その横の座席を「助手席」と呼ぶのはなぜでしょうか?

英語では助手席のことを”passenger seat”、
直訳すると搭乗者席となります。

「助手席」という言葉の由来には、
いくつかの説がありますが、
誕生は、大正時代あたりと言われています。

当時の交通手段としては、
人力車が広く普及していましたが、
海外から自動車が輸入されるようになると、
高級な移動手段としてタクシーが登場します。

輸入された自動車は、
大柄な欧米人用の規格だったため、
和服を着た日本人にとって、車高が高く、
車の乗り降りは、裾が開けるなど一苦労でした。

そこでタクシーの運転席の隣に助手が座り、
お客の乗降を手助けしたそうです。

その席が「助手席」と呼ばれる所以は、
ここにあると言われています。

昭和に入ると、この助手さんは、
管理費が高くなるということで廃止されます。

※1モータリゼーション:英語のmotorizationとは、
「動力化」「自動車化」を意味する言葉です。
自動車が広く普及し、生活必需品となる現象のことです。


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